• "Shadows from nowhere"

    Blue Gas

    2017.06.07

    Country:Italy

    Format:12" / 7"

    Year:1983

    Label:Eyes



    イタリアはボローニャ出身の巨匠SSW、Celso Valli(セルゾ・ヴァッリ)のワンオフ・プロジェクトBlue Gasによって、83年にミラノのオヴスキュア・レーベル〈Eyes〉に残されたメロウ・ポップ・イタロディスコ。

    1950年生まれ、御歳67歳のCelso Valliは、15歳のときに音楽学校に入学し、ハーモニー、コンポジション、オーケストラといった専門教養を習得、いまなおイタリアン・ミュージック・カルチャーの湧泉として知られる名門Fonoprint studioにてキャリアをスタート。クラシカルなエリート街道まっしぐらかと思われた御仁でしたが、何があったか70年代より徐々に電化の道を辿り、Idjut BoysやDJ Chida、私といったフリーキーなイタロフリークが懐刀として忍ばせているTantra諸作や、イタリアから国境を越えて欧州各地のダンスフロアを天上界へ導いたRAFの”Self Control”、USオヴスキュア専科〈Dark Entries〉からのストレート・リイシューによって現在のイタロ・リヴァイバル・ムーブメントに火をつけたニューウェーヴ×イタロのハーフ・ユーロ・ダンスPeter Richardの”Walking In The Neon”といった、80年代不朽の名作をはじめ数多くの作品に携わり、イタロディスコ界の久石譲的な名声を得ています。イタリア本国でイタロディスコと言えば、ピンからキリまで大衆音楽的に親しまれているから、たぶんおそらく、かの国で音楽エリートとしての道を歩んでいたなら、そこに関わっていくのは当然といえば当然の成り行きだったのかもしれません。

    本作は、時系列的にはTantraの最高傑作と言える”A Place Called Tarot”のリリースと、前述のRAF”Self Control”のリリースのちょうど間くらいの83年にリリースされているのですが、これら代表作とは全く別モノの、たった一度きりのメロウなアプローチが披露されています。曲全体を覆う朝靄のようなシンセワークに、心の通ったコンピューター・リズムセクション、そしてモダンソウルやAORファンをも虜にしてしまうようなブリージン・ボーカルといったシンプルなシーケンスゆえに琴線に触れるジャケ通りの青春フィーリング。巨匠の知られざる柔らかな一面を宿したまさしく秘宝トラックです。

    かくのごとく中古市場では100$越えと、入手が難しいオリジナルではありますが、このたび圧倒的な審美眼で好事家垂涎リイシューを連発している再発専門レーベル2社〈Archeo Recordings〉と〈Best Records Italy〉が手を組み、この作品の復刻に尽力、めでたく先月マスターテープからのリイシューを成功させているので、気になった方はディスクユニオンのウェブサイトをチェックしてみてください。なお、掘れば出てくる幻の金山Celso Valli絡みの作品群ですが、クレジットにしてなんと1000タイトル!を超えていて、採掘にもそれ相応の気概が必要かと思うので、その中から最近の個人的お気に入り、フロアでもよくかけている70年代後期のカルト・ディスコティーク、Passengers – Girls Cost MoneyとBen Richardson – Sky Diverもここにおすすめしておきます。





    Share this: