• "Coffee Rumba"

    小林泉美

    2017.07.11

    Country:Japan

    Format:LP

    Year:1982

    Label:Kitty Records


    コーヒー・ルンバといえば、同世代の日本人なら荻野目洋子か井上陽水あたり、もう少し深いところでロジック・システムがリフレインするところかと思いますが、もともとこの曲、ラテンアメリカの民族音楽いわゆるフォルクローレ発祥で、60年代に民族弦楽器アルパ奏者Hugo Blancoの演奏によって世界的に広まったそうです。80年代に入りスペインのちょいワル国民的シンガーJulio Iglesiasによるカヴァーがリリースされると、ここ日本でもリヴァイバルが起こり、インスト、日本語、ライブと、ピンからキリまで色々なヴァージョンが生まれます。

    本作はそのカヴァー競作ブームの中で、メインストリームに認知されなかった知られざるコーヒー・ルンバのひとつで、シンガーソングライター小林泉美による82年のLP作品「夏・NUTS・夏」にひっそりと収録されています。

    もともとアニメソングのコンポーザーとして活動していた小林泉美でしたが、80年代、スタジオ・ミュージシャンらで構成されていたジャパニーズ・フュージョン・シーンに接近し、高中正義バンドやT-SQUAREなどとともに本格的な音楽キャリアを積み、90年代に入るとエレクトリックミュージックへと舵を切り、なんとAphex TwinのRichard D James率いる個性派牙城Rephlex Recordsからリリースオファーを受けるに至っています(結局色々あってリリースはなかったようですが)。そんな小林泉美のキャリア中期にあたる82年のLP作品「夏・NUTS・夏」には、清水靖晃、笹路正徳、土方隆行の「マライア・プロジェクト / MARIAH」の渡辺モリオや高橋ゲタ夫、布袋寅泰ら国内最高の技巧派が参加し、アフリカンからハワイアン〜カリプソといったオーガニックでゴキゲンなワールドテイストに、ニューウェーヴ的退廃感がどろりと混濁した個性的な折衷ポストパンク楽曲がプロデュースされています。むき出しのリズムボックスによるスカスカなシーケンスの隙間をキュートなアニメ声で縫い上げたコーヒー・ルンバ史上最も実験的な本作は、その中で、その後テクノへと傾倒してゆく小林泉美の未来の一端を垣間見せるかのような佇まいで収録されています。

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