• "…Keyboard Fantasies…"

    Beverly Glenn-Copeland

    2017.03.21

    Country:Canada

    Format:Cassette

    Year:1986

    Label:Atlast Records



    フィラデルフィア出身、シンガーソングライターBeverly Glenn-Copelandによって86年、自身のレーベル〈Atlast Records〉から発表されたカセットテープアルバム、「…Keyboard Fantasies… 」。

    ジャズのレコードコレクター、クラシックピアニストの父と、教会で賛美歌を歌う祖母、異人種が集うキリスト教系コミュニティに囲まれ、幼少期から多彩な音楽、文化の影響を受けて育ったCopeland。カナダ、モントリオールに移住後、大学にてオペラとリートを専攻し、一旦はクラシック歌手を志すものの卒業後は、世界三大無名ギタリストなどとも敬意をもって評されるジャズギタリストLenny Breauなどとつるみはじめ、完全に愚れてれてしまいジャズ/フュージョンの畑を耕すこととなります。1970年にデビュー作品となるLPアルバム「Beverly Glenn-Copeland」を発表すると、その評価から舞い込んだUSの脚本家Frank Vitaleのミュージカル音楽プロデュースという大役を担い、これがいちばんの大きなきっかけとなって、その後70年代から80年代前半にかけては、愚れていた反動からか映画やアニメーション、セサミストリートなどの子ども向け番組のための音楽を作曲してゆくことになります。要するにうたのおねえさん(オニイさん?トランスジェンダーであったため02年に男性に移行しています)の走りとなったわけですね。

    86年に発表された本作にはその影響が色濃くにじみ出ていて、彼彼女自身の牧歌的コブシ回しと、YAMAHAのシンセサイザーDX-7の艶やかな音色、そしてRolandのドラムマシンTR-707のミニマリズムのみというホームメイドな宅録的音源にもかかわらず、まるでオームの触手畑のようにどこまでも広がるノスタルジアに淡いソウルがそよぐ不朽のメロウネスを醸し出しています。

    でも、この人何がすごいって、クラシックやジャズに因んだ英才ながらも、本作を発表した頃のミュージシャンシップを一徹し、なんと今もカナダのニューブランズウィックにて、小学校でミュージカルをプロデュースしたり、子ども達のウェルビーイングを目的とした制作に携わったりと心温まる芸術教育に勤しみ続けていることです。もはや感銘を受けるしかありません。







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