• "Echoes"

    Wally Badarou

    2017.03.23

    Country:UK

    Format:LP

    Year:1984

    Label:Island Records



    1955年、パリ生まれのプロデューサー、アレンジャー、キーボード奏者Wally Badarouによって、84年に発表されたキャリア3作目となるソロアルバム。ロフトクラシックとなる”Chief Inspector”やバレアリック古典”Hi-Life”、Massive Attackの90年不朽のデビュー作Daydreamingのサンプリングソース”Mambo”など、ダンスからチルアウトまでいまなお強烈な個性を放つ全10曲最高なマスターピース。

    77年、Island RecordsによってUSフロリダ半島の南東に浮かぶ島国バハマの首都ナッソーに設立された音楽史上伝説のスタジオ、コンパスポイントのお抱えレコーディングミュージシャンとしてキャリアをスタートしたWally Badarouは、70年代後半から80年代前半にかけ、Level42、Fela Kuti、Grace Jones、Talking Heads、Tom Tom Club、 Mick Jaggerなどなど、その名を書くのもはばかれる、そうそうたるアーティスト達とレコーディングキャリアを重ねつつ、お抱え特権で自由に使うことができたであろうスタジオ内設備のシンセサイザーProphet-5にくわえ、小室哲哉にして「空を飛ぶ以外ならなんでもできる」と言わしめた、Synclavier(シンクラヴィア)など当時の電子音楽技術の粋を集めて本作品を制作します。(ちなみにこのSynclavier、数千万から一億円という実は空をも飛べてしまうような値がついています。)

    このSynclavierの特異性能であった生演奏をデジタル録音して編集できるという、今でこそDAWの登場によって簡単になった作業ですが、当時実験的な音楽を試みるミュージシャン達にとっては羨望の的だったこの機能を操り、アフリカ、カリビアンを通過した生命力みなぎる陽のリズムとクリスタルなシンセサウンドがデザインされた、霊性フュージョンファンクとでも言うべくインテリジェンスな作風を誕生させることとなったのです。80年にリリースされたデビューアルバム「Back To Scales To-Night」(こちらも大傑作)では黒汁溢れるマシンソウルをプロデュースしていましたが、本作でその黒さが薄れているのは、Synclavier使用下における非ライブ感や、時は70代後期ロック終焉後、新しければ何でもありなポストロック精神性から生まれたニューウェーヴやミュータントディスコ畑のアーティスト達と結んだコンパスポイントコネクションによってきたるところなのかもしれません。




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